食生活論初日。

 

巷にはたくさんの食生活論の教科書があるが

2014年からは拙著「食学入門ー食べるヒト・食べるモノ・食べるコトー」を使って講義をしている。

 

いつごろからだろうか。

食の場面には「からだにいい」か「からだにわるい」か

そんな声が溢れるようになった。

 

ゴマはからだにいい

ヨーグルトはからだにいい

きな粉はからだにいい

ココアはからだにいい

はちみつはからだにい

 

というわけで

九十四歳の私のママは見た目も味もなんだかひどいことになっちゃったものを

食べていることがある。

きな粉がいくら体によいとして、そんなに砂糖を入れてばだめだと思うし、

ゴマ和えには醤油を入れすぎる。

素人は実に危ない。

 

 

栄養学が学問として注目されるのと同時に

情報化も急速に進んだ。

新聞、雑誌、その後はSNS。

 

真偽とは別に、体によいかわるいかの情報が飛び交うようになった。

 

食べ物として売られているものが

体にわるいはずはない。

摂取量の問題だけである。

 

当然

いわゆる体によいと言われているものとて

摂取量と摂取方次第でとんでもないことになる。

 

脂肪分半分のマヨネーズを2倍使ったらどうなのか。

塩分控えめの醤油や味噌を

安心して2倍使ったらどうなるのか。

脂肪分の少ない肉をフライにしたらどうなのか。

 

ビタミン類などが大量に含まれているフルーツを

ジャムにしたらその糖分はどうなのか。

 

怪しい方法が溢れている。

 

管理栄養士、理学療法士、作業療法士、

看護師、保母、幼稚園教諭、小学校教諭などをめざす学生たちと

今年も15回にわたって食にまつわる様々なことをいっしょに考える。

 

なぜ地球上で40パーセント以上の人は道具を使わず手でたべるのか。

私たちはなぜ箸を使うのか・・

どうしてワイングラスはあんなに種類が多いのか、

外食産業の看板になぜ黒板と手描きが増えてきたのか

など、

興味ふかい話題を集めてある。

 

次々に変化する世の中に合わせて

食の周辺を丁寧に考えていきたい。

 

栄養があるか

体にいいか

食の役割はそれだけではない。

美味しいのは当然である。

 

食を暮らしのツールとして考えてみようと

学生に提案した。

何人かの学生が、ツールとメモしていた。

食はヒトが人間になるための必須のツールであった。

楽しく勉強していきたい。